自分には相続人がいないと思っていても、相続人の調査をしてみると、法定相続人が存在したということはよくあることです。
相続人には、ご自身の親や兄弟にとどまらず、甥や姪がなる場合もあります。法定相続人がいるかどうかは、戸籍などで慎重に調べる必要があります。
また、戸籍などで調べた結果、それでもはやり、法定相続人になるべき者が明らかでない場合、または相続人全員が相続欠格や相続人の廃除により相続の資格を失っている場合など、相続人のあることが明らかでない(相続人の不存在)場合、遺産を管理・精算する人がいなくなるのでは、利害関係者などは困ってしまいます。そこで、民法により、遺産の管理・精算の仕方が定められています。
具体的には、家庭裁判所によって遺産の管理・精算を行う相続財産管理人が選任され、相続財産の精算が行われたり、本当に相続人がいないかを官報などで確認する手続きなどが行われます。最終的に相続人が現れず、財産の精算後になお残っている財産があれば、国庫に帰属することになります(国のものになります)。
しかし、相続人はいないけれど、財産が国のものになってしまうのであれば、生前お世話になった人に自分の財産を残したり、何らかの団体に寄付して社会の役に立てたい、など考える人も多いのではないでしょうか。
このような場合、遺言によりそのような希望を実現することが可能です。
ただし、ご自身の希望を実現するためには、遺言を実行するための遺言執行者が必要になります。
遺言執行者は遺言により指定することができますが、自分の希望を実現するためには、遺言書の存在を信頼できる人に知ってもらい、遺言執行者になってくれるよう事前にお願いすることが重要です。