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遺言書の種類

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遺言書とは

遺言書とは亡くなった後にご自身の想いを形にする法律文書です。

ご自身の意思が尊重されるので、民法による法定相続分に則らない分割方法や、誰に何を相続させるかを指定したいときに有効な方法となります。

しかしながら、遺言は法律に反する書き方や残し方をした場合は無効となりますので、ご自身の想いを形にするためには、法律の定めに従って、具体的に実現されるような内容や文面を考慮することが重要です。この点を疎かにしてしまうと、想いを形にできないばかりか、遺言書の有効・無効を身内同士で争うこともあり得ます。

なお、遺言には何を書いても自由ですが、その内容が法律的に効力があると認められるのは、次の10種類の事項となります。

民法が保護する10種類の遺言事項

①遺贈や寄附行為などの遺言者の遺産の処分
②推定相続人の廃除または廃除の取り消し
③法定相続分と違う遺産分けの時、相続分の指定または指定の委託
④遺産の分割方法の指定
⑤遺産分割の禁止
⑥相続人相互の担保責任の指定
⑦遺言執行者の指定
⑧民法の遺贈減殺方法
⑨認知
⑩未成年後見人の指定

遺言の種類

遺言書の種類は大きく分けると次の3種類になります。その中でも利用されることが多いのは、『自筆証書遺言』または『公正証書遺言』になります。

なお、遺言は文字で残すことが原則となっており、後日の改変が可能なビデオテープや録音テープなどは認められていません。

自筆証書遺言

遺言を残す本人により、全文、日付、氏名等を自筆で書き、押印したもの
ワープロやパソコン使用によるものは無効となります。また、ワープロやパソコンで本文を作成し、署名だけ自書しても無効となります。
書かれている内容を分かりやすくするとともに、解釈をめぐる争いが起きないように注意することが大切です。
自筆証書遺言は費用もかからず、いつでも書けるなど手軽に作成できるため、数多く利用されていますが、法律で定められたとおりに作成しないと遺言として認められません。
実際に、法律で定められた要件に外れたため、無効になってしまうケースが多くみられます。また、遺言書を見つけた人が隠したり破り捨てたり、勝手に手を加えたりする危険性もあります。

作成時のチェックポイント!

①全財産の記述があるか
②記述に具体性があるか
③日付が入っているか
④本人の自筆か

メリット

手間・費用がかからない
好きなときに一人で書けるので、書き直しが楽にできる
遺言の内容を知られたくない場合に有効(秘密が守れる)

デメリット

紛失してしまう可能性が大きい
発見されない可能性がある(ただし、防止する方法あり)
発見されても隠匿される可能性が大きい(ただし、防止する方法あり)
内容や方式に間違いがあると無効となり、逆に騒動の種になる危険がある
遺言書の内容を知られたくない場合に有効
被相続人が亡くなった後、遺言書が発見された場合は、簡易裁判所で検認手続きを受ける必要がある

公正証書遺言

公証役場で証人2名の立会いのもとに、本人(遺言書作成者)が公証人に対して遺言の内容を話し、公証人がそれを文書にして遺言書作成者に確認をします。確認が取れたら遺言書作成者、公証人、証人2名の合計4名が署名・押印します。
この文書は公証役場で半永久的に保管されます。
なお、公証役場に遺言の内容と遺産の額に応じて手数料を支払います。
体調が優れないなどの理由により、公証役場へ行けない場合でも、自宅や病院まで公証人を呼び、作成することが可能です。手間と費用はかかりますが、その分厳格な条件のもとに作られるので信頼性が高い文書となります。
また、相続人になる可能性のある人(推定相続人)、直系血族、未成年者、受遺者などは、公証人役場での証人になることはできません。

メリット

原本が公証役場に保管されるため、紛失の恐れがない
内容の不備がほぼなく、無効になりにくい
ご自身が亡くなった後、相続人が簡易裁判所で行う検認手続きの必要がない
公証役場に記録が残るので証拠になる

デメリット

実印や印鑑証明書、身分証明書、相続人の戸籍謄本、登記簿謄本などの必要書類が多いため、手間がかかる
作成に費用がかかる
作成の過程で公証人や保証人に内容を伝えるため、内容の秘密が保てない
公証役場に記録として残っていても死亡の情報が市区町村役場から公証役場に報告される制度がないので、結果的に存在を知られない可能性がある(ただし、防止する方法あり)
発見されても隠匿される可能性がある(ただし、防止する方法あり)

秘密証書遺言

本人が遺言書に署名と捺印をして、同じ印鑑で封印して公証役場の認証を受けるもの。
認証を受ける際、公証人と2人以上の証人の前で本人の遺言書であることを告げます。
本文はパソコンや代筆でも問題ありません。
遺言書の内容は秘密のまま、遺言の存在を明確にすることができます。
公正証書遺言と同じように公証役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認できないところが相違点です。

メリット

遺言内容の秘密が守れる
公証役場に存在の記録が残るので証拠になる
偽造や書き換えられることがない
作成に専門家(行政書士など)に相談しないと形式不備で無効となる可能性がある

デメリット

費用がかかる
発見されない可能性がある(ただし、防止する方法あり)
発見されても隠匿される可能性がある(ただし、防止する方法あり)
作成時に専門家(行政書士など)に相談しないと形式不備で無効となったり、逆に騒動の種になる危険がある
遺言書の内容を知られたくない場合に有効
被相続人が亡くなった後、遺言書が発見された場合は、簡易裁判所で検認手続きを受ける必要がある

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認(※)の手続きが必要となります。検認の必要がないのは、公正証書遺言の場合だけです。

なお、公正証書遺言の場合は、公証人が作成し、すでに公文書となっているため、検認手続きをする必要はありません。

※検認とは、家庭裁判所において、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではないため、検認手続きが済んでも、相続人や利害関係者は、その遺言の有効性や遺言内容を争うこともできます。また、検認手続きを経ないからといって遺言そのものが無効になるわけではありませんが、手続きを怠ると5万円以下の過料に処されます。なお、勝手に遺言書を開封し、偽造、改ざんすると相続欠格として相続権を失います。

検認手続きの際に必要な書類は以下のとおりです。

検認手続きに必要な書類

①遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

② 相続人全員の戸籍謄本

③ 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

公正証書遺言は、証人が必要なことと費用がかかるという短所がありますが、法務大臣により任命された公証人が、ご本人から遺言の内容を聞きとって書きますので、後日紛争が生ずることがほとんどありません。
また、文字が書けなくても作成可能であり、原本は公証人が保管するため、紛失や改ざんのおそれがありません。
遺言を残された方が亡くなった後の財産の手続がスムーズに行なうことができることも魅力のひとつです。

専門家しては、遺言書を残すことをお考えであれば、公正証書遺言にしておくことをおすすめいたします。

遺言や相続といった手続きはトラブルの元となる可能性がありますので慎重に行う必要があります。
また相続問題は法律に書かれてあることだけでは解決しないことも多いのが実情です。

当サポートでは、遺言に関する些細な疑問や手続きに不安のある方のご相談を承っております。
初回は無料相談を承っておりますので、安心してお気軽にお問い合わせください。

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