みなさんは遺言書について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
「相続人同士の仲が悪い人が作るものだ。うちは親族みんな仲が良いから大丈夫」
「土地や預金など財産をたくさん持っている人が作るもので、自分には関係がない」
「口頭で伝えれば、後はうまく整理してくれるはず。あえて遺言書なんて作る必要はない」
など考える方が多いのではないでしょうか。
「終活」ブームの中、いざとなったとき子どもや孫に負担をかけたくない、病気などで意思表示が困難になった場合に備えて、自らの葬儀の希望などを遺しておきたいといった想いから、遺言書を作成する方が増えてきております。しかし、それでもまだ、遺言を残さずに亡くなる方がたくさんいます。
そして、悲しいことに、遺言がないために残された遺族の間で遺産をめぐるトラブルが数多く起こっています。
譲りうける側からすれば、「少しでも多く譲り受けたい」と思うのが人情です。
近年は権利意識の高まりやライフスタイルの変化などから遺産分割でもめることが少なくありません。また、子供たちをはじめとする相続人同士は仲が良くても、周囲の人々の思惑などが絡み、すんなり解決できないこともあります。
遺言を残さない場合の相続割合
遺言書を残さない場合、民法で決められている法定相続分に従い、遺産が各相続人に分配されます。
民法で決められている法定相続の割合は以下のとおりです。
法定相続人 | >相続順位 | 相続割合 | 配偶者の相続割合 |
---|---|---|---|
子 | 第1順位 | 1/2 | 1/2 |
被相続人の親 | 第2順位 | 1/3 | 2/3 |
被相続人の兄弟 | 第3順位 | 1/4 | 3/4 |
しかし、このような機械的な分配方法で、あなたは満足でしょうか。
例えば、老後、自分と同居をして面倒を見てくれた長女に多めに財産を与えたいとか、放蕩息子には財産を分けたくない、家業を継ぐ長男に多く残したい、など思うのではないでしょうか。
このように、あなたの想いを実現するためには、遺言を残さない限り、実現しません。
遺言で可能となること
遺言は財産の分配方法だけでなく、自分の希望を残された人々に託すことができます。例えば、「自分が亡くなった後、ペットの面倒を見てほしい」、「遺骨を海洋に散骨してほしい」といった希望も遺言書に記載することができます。
遺言書でできる具体例
◎法定相続分と異なる分配割合
◎相続人以外への財産の分配
◎財産の分配以外の希望の実現
◎相続人の廃除
◎負担付遺贈
◎各財産ごとの分配の指定
◎遺言による認知